お題ごとⅡ。【04】

期間限定( http://www.geocities.jp/one32l/index.html ) さんより頂きました。

【5のお題】

04　ヴ ァ ン パ イ ア に な る

淡い空色のカーテンの隙間から、柔らかな乳白色の光が一筋滑り込んできた。
窓枠からあふれて零れた光はさながら矢のごとく。
一筋、また一筋。
昼を統べる存在の支配のもと、徐々に徐々に世界を染め上げていく。
恐れ慄いた夜の闇は、小さな影や部屋の隅に退いて、身を震わせながらじっとうずくまった。

朝陽は暖かな色合いを振りまきながら、全てに等しく降り注ぐ。
そうして煤けた小屋の一角にある小さな居室をも、光のもとに晒してゆく。

ベッドの上で布団にくるまって一向に目を覚ます気配のない女性、
サイドテーブルの上の年季が入った書物数冊と、ほとんど空になっている酒の小瓶、
床の上に脱ぎ散らかされた黒衣、
部屋の中央の洒落たテーブル、
奥の戸棚に乱雑に並べられたさまざまの酒瓶・・・・・・などなど。

もぞりと、布団が・・・正確には、それにくるまった人が動いた。
（あぁ・・・・・・もう朝なのね）
顔にかかるもつれた髪をかき上げながら、げんなりした顔で溜め息をつく。
どうも昨晩は飲みすぎたようだ、心なしか辺りの空気が若干酒臭い気がする。
布団をはねのけることも身を起こすこともせずに、横になったままぼんやりと彼女は自室を眺めた。
（眩しい）
冬の晴れた日の陽の光とは、こんなにも強い輝きを宿したものだったのか。
何にせよ。
（目の毒ね）
なんとも不真面目な言葉を心の内で呟くと、もぞりと頭を引っ込めた。
布団で隔てられた心地よい闇に包まれて、あくびを一つ。


これじゃ、まるでヴァンパイアね？


あと10分・・・と回転の鈍い頭で考えながら。
意識は再び、闇へと溶けて遠のいた。

---

遅れ馳せながら、新年明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよしなに。

多田野が論文提出を終えたので、出現率云々は元に戻……っていうか変わらないと思います（笑）
修羅場ってても、ちゃっかり顔出してたからねぃ☆
後の心配事は諮問という名のラスボス戦くらいでしょうか、頑張ろうっと。