・・・今にして思えば。
おんぼろ小屋の住人の一人がぽつりと零した一言から全ては始まった、のだと思う。
「闘技場行かないか?」
せっかく4人揃ったんだ、この面子で出てみたい。
ニッと口元を笑ませた彼女の言葉に反対する人も、特に反対する理由もなかった。
ちょうど私が召喚獣を呼び出したばかりの頃で「もう少し待っていてください」とお願いした覚えがあるので、しばらく前の話だと記憶しているのですが。
それきり話題に上ることもなく、今現在に至り・・・・・・
「チーム名は『ア・ウェイ・ア・ローン』」
ドン! と古い木製のダイニングテーブルの上に、参加証を叩きつけて。
爽やかだけれど有無を言わせぬ笑みをその顔に張り付け、言いだしっぺがこちらを睥睨(へいげい)してきた。
「全員参加だ、補欠がいないからな。いまさら怖気づいたとか、ま さ か 言わないだろう?」
にっこり。
・・・この様子だと、女にも二言はない、というか許して貰えそうにない。
「ぁ~・・・寝耳に水な話、っていうかメチャクチャ唐突な話だね?」
爪を磨きながら話を聞いていた姐さんが苦笑している。
「まぁ、予定は空いてるからあたしは構わないよ」
「さすがイェナ。経験者は落ち着いたものだな」
「ヨイショはやめとくれよ、後方でガタガタ震えながら回復してただけさ」
姐さんとビアンカさんの軽口のたたき合いを聞いているうち、ふともう一人の予定が気になった。
その人物は斜め向かいの椅子に腰かけて、何やら真剣な顔で紙の束を眺めている。
「ヴィヴィさんは予定どうですか? 普段別の旅団のチームで出ていましたよね?」
「・・・・・・んー」
上の空、としか言いようのない返事が返ってきた。
こちらのやり取りを見かねたのか、ビアンカさんが助け船を出してくれる。
「ヴィヴィも予定は大丈夫だと。上の空なのは、今、私たちの装備一式見繕って貰ってるからなんだ」
この中で一番闘技場経験あるのコイツだからな。リーダー権限で監督に任命したんだ、と彼女は笑った。
「ところでナミ、あんた自身の予定は?」
「あ、はい・・・大丈夫です。ですが、お役にたてるかどうか」
冒険者になりたての自分が未熟極まりないのはわかりきっていることで。
自信が持てなくて、ちょっぴり肩を落とす・・・と、背後から帽子ごと頭をわしゃわしゃ撫でられた。
「ここにいる誰も、あんたが完ペキだと思っちゃいないし、それを望んじゃいないよ」
「姐さん・・・それは何気にちょっと傷つきます・・・」
「あっはっは、言い方悪かったかねぇ。まぁ要するに、難しいこと考えずに楽しめばいいんだよ」
「そそ、イェナちゃんの言うとおり」
声のする方を見遣れば、紙の束(後で聞いたら道具リストだとか)から視線を持ち上げて、監督が勝気な笑みを向けてきた。
「誰かが手酷くやられても、私とイェナちゃんが支えるわよ。だからそんな心細そうな顔しないのー」
ホッとして、ひとつ頷いた。体中の強張った筋肉がほどけてゆく感覚がする。
「・・・ま、先輩方が言うんだから、そういうこった」
肩にポンと手が置かれたと思ったら、ビアンカさんが隣に立っていた。
「楽しむことは確かに、一番大事だ。だがな――・・・」
ここにいる誰ひとり、負け戦をしに行く気は毛頭ないだろう・・・?
不敵な笑みを浮かべて無言の肯定。
あぁ・・・なんて血の気の多い四重奏。
≪NAMELESS WANDERER≫ア・ウェイ・ア・ローン、いざ出撃―――!
友情出演:ビアンカ・ノウトステイト(a74882)
イェナ・ヴェールダンス(a71774)
記念に(多田野にしては)超スピードで書いてみた。
本当にね・・・まさか初出撃で本戦2連勝、BC優秀チーム入りするとは思わなかったよ!
時の運と勝利の女神の気まぐれって恐ろしいね(笑)
とにもかくにも、お疲れさまー
またそのうち名無し団で出てみようネ☆
1stキャラ。
かな~り長い間一線を退いていたが、何を思ったかフラリと復活。
性格、外見、口調がガラリと変更に。
テンション上昇のオマケとしてKY度が上昇中。
◆好:酒、お祭り騒ぎ
◆嫌:露出の多い服、頭を使う話
【冥戒・イザナミ】(右)
2ndキャラ。
前衛職やってみたいーという欲から突発的に生まれた娘。
クールどころか徐々に徐々に、のほほん系へ進化中。
◆好:可愛いもの
◆嫌:辛い食べ物、裁縫、調理
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